止血剤の、形状による使いわけってありますか?
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はじめに
止血剤についてアップデートする機会を頂きました。
たしか、前に少しだけまとめたことがあったな、、、と思い振り返ってみると、、、
ありました、2016年1月5日か、、、。
我ながら地味に長くブログを綴っているなあとしみじみ感じます。
備忘録がメインの役割なんですが、当時の理解の少なさ・悪さが記録が残っているのは恥ずかしい限りです(汗)。
今回は止血剤の形状について考察してみたいと思います。
止血剤の形状について
現在の止血剤の形状はだいたい以下のものがあるかと思います。
①スポンジタイプ
②綿(コットン)タイプ
③フラワータイプ
④パウダータイプ
⑤シートタイプ
⑥液状タイプ
⑦ペーストタイプ
などでしょうか。
それぞれの雑感をまとめます。
スポンジタイプ
スポンジタイプは、スポンゼル®、ゼルフォーム®などです。
ゼラチン製剤で膨張による局所圧迫による一次止血を狙います。
生食や血液などに浸されることで、ふやけて圧着できます。
術者好みのサイズに何通りか刻んでもらって使う施設が多いかと思います。
なので使い勝手はよいですが、刻む手間がかかるので看護師泣かせの製剤かもしれません。
わたしはトロンビン液に浸してもらって使用しております。
局所的なwoozingに抜群の効果を発揮します。
綿(コットン)タイプ
綿(コットン)タイプは、サージセルコットン®が代表です。
サージセルは酸化再生セルロースで血液が浸潤することにより、膨張して、圧迫止血効果を発揮します。
1週で90%、2週で100%組織に吸収されるといいますが、実際どうでしょうか、、、
正直わたしはあまり上手に使うことができない止血剤です。
綿状、ガーゼ様の形状で局所より広い範囲を被覆できることから、
出血源がはっきりしない、筋層などからの全体的なwoozingによいといいます。
局所的なwoozingだったらトロンビン+スポンゼルでしっかり止まるしな、、、、
なので、この綿状ガーゼ状止血製剤の上手な使い方をぜひ習いたいところです。
フラワータイプ
フラワータイプは、アビテン®やインテグラン®などです。
微線維性コラーゲン製剤で、血小板を線維性コラーゲンに粘着させて、放出反応により血小板凝集を引き起こし、一次止血をします。
よって、先のゼラチン製剤や酸化再生セルロース製剤より出血の減少や止血時間の短縮が得られるとされます。
いいじゃん!
でも、じつは、わたしはこれも上手に使えないのです。
摂子にこびりついてくるわ、止血したいところの周囲にまとわりつくわ、かといって、どかっと持ってくると無駄が多いし、、、
扱いが難しくないですか?
パウダータイプ
パウダータイプは、サージセルパウダー®やバードアリスタ®です。
サージセルパウダー®は酸化再生セルロース(サージセルです)を、
バードアリスタ®は微小孔デンプン球なる粉末を吹きかけて止血します。
これも一次止血の製剤です。
残念ながら、わたしには、使用経験がありません。
パウダーで吹きかけるので、やっぱり狙ったところに付着させることは難しいように思われます。
これも止血効果の割に、無駄が多そうです。
やっぱり一次止血用の製剤なので、傷口への圧迫効果が優れていないとうまく使えないような気がしてなりません。
これまた上手な使い方を指南してほしいです。
シートタイプ
シートタイプは、サージセルシート®とタココンブ®があります。
サージセルシート®はサージセルなので、セルロース、膨張する一次止血製剤です。
一方で、タコシール®はヒトフィブリノゲン、トロンビ ン、ウマコラーゲンの組成で、「シート状生物学的組織接着・閉鎖剤」とされます。二次止血用製剤です。
サージセルシートもわざわざ局所の一次止血で出番はないので、使用経験がありません。
シート製剤の出番があるとすれば、局所で制御不能な動脈性の出血ではないでしょうか。
通常はガーゼでの圧迫や、バイポーラーなどでの凝固、あるいはクリップや糸などで結紮したいですが、そういうことがよくわからないような制御不能な出血。
シートだから、厚みあって無駄が多いし、凸凹に弱いし、でもそんなん言ってられない、詰めて詰めて詰めまくって止めなければ!かといって、ガーゼには圧迫以外の止血作用が働かないので、二次止血狙ってタコシール、、、というような使い方になると思われます。
液状タイプ
液状タイプには、ボルヒール®やベリプラスト®などがあります。
よくフィブリン糊と言われて、液状で糊みたいにそれ自身が固まってくれます。
二次止血製剤ですね。
糊で最後覆う感じで、直接の止血剤という使い方よりは、止血の最後の仕上げだったり、閉創の最後の仕上げ、あるいは硬膜縫合後の硬膜形成剤被覆の最後の仕上げ、といった使い方をすると思います。
ペーストタイプ
最後にペーストタイプです。
これは、みんな大好き(?)フロシール®やサージフロー®です。
ゼラチンとトロンビン溶液の混合製剤で一次止血、二次止血を兼ね揃えます。
わたしは保険償還されることを知らずに、使用していなかった時期があります。
今は頚椎の椎間孔開放や、PLIFなどルート近くの硬膜外の静脈を触るときは、よく使用しています。
ペーストでフローアブルなので、局所の凸凹もなんのその、です。狙ったところにピンポイントで届きます。
局所の静脈性出血 以上 動脈性出血 未満の出血はほぼ瞬殺です。
本日のまとめ
止血剤、いろいろありますね。
なかなか教科書や文献などになりにくい、施設ごとのお作法があるところだと思います。
止血の技術は手術のストレス低減に直結します。
すなわち手術の合併症も低減すると思われます。
なかなか施設見学に行くことができにくい世の中になってしまいました。。。
なので、このような手術場でこそ学べる技術というもののWeb特集を組んで、勉強していきたいものです。
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