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はじめに


胸腰椎移行部の前方固定のアプローチは横隔膜の処理を伴います。

先日わたしのお師匠さんを招聘し、
lateral extracoelomic (retropleural/retroperitoneal) approach
についてご指導いただきました。

横隔膜はペラペラで、「丁寧にはがす」とまではいきませんでしたが、ご指導のおかげで大きな問題なく終えることができました。

lateral extracoelomic (retropleural/retroperitoneal) approach
についてまとめておきます。

文献紹介


lateral extracoelomic (retropleural/retroperitoneal) approachについては、

The anatomical relationship of the diaphragm to the thoracolumbar junction during the minimally invasive lateral extracoelomic (retropleural/retroperitoneal) approachJ Neurosurg Spine 16:359–364, 2012
に詳しいです。

スクリーンショット 2020-12-20 10.59.55


言わずとしれたXLIFの大巨人、Uribe先生らの論文です。

extracoelomic spaceって??


自分としては、extracoelomic spaceというのは、
・肋骨裏から壁側胸膜を剥がしてできる胸膜外腔
・腹横筋膜裏から剥離してできる後腹膜腔
・横隔膜を肋骨や腰椎から剥がしていき、これら胸膜外腔と後腹膜腔がつながってできるスペース
と理解しています。

本文ではcoelomic spaceについて、発生学的なことから解説されています。
ご参照ください。

横隔膜を肋骨裏からはがしていって、横突起などの付着部を切離してアプローチし、LIFを行いました。
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壁側胸膜にpin holeくらいの裂け目ができましたが胸膜外腔に活動性出血はありませんでした。

胸膜外にはドレーン留置せず術後3日目の胸部レントゲンです。
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本日のまとめ


Lateral extracoelomic (retropleural/retroperitoneal) approachについて勉強しました。

横隔膜はペラペラで、なんだか剥離しているうちに、なんとなくつながってしまう、というか、裂けてつながったのかな?というような感じでしたが、横隔膜をばっさり切開することなく、胸腰椎移行部に安全にアプローチできる方法と思いました。

術後の管理もとても楽です。

引き続き症例を積み重ねて慎重にチェックしていきたいと思います。