新しい中下位頚椎の後方固定法、long lateral mass screwについて
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はじめに
頚椎後方固定術で、新しい中下位頚椎のスクリュー刺入法として、PVFS; paravertebral foramen screwを知って以来、lateral mass screwを打つことが完全になくなってしまいました。
そしてまた新しいスクリュー軌道が発表されました。
lateral mass screwならぬ、long lateral mass screwです。
川崎医大の渡辺聖也先生、中西一夫先生らの論文になります。
結論からいうと、最大限の軌道を狙うことにより、約24mmもの長さのlateral mass screwが打てるというのです!!
ほんとですか、頚椎椎弓根スクリューの長さと一緒じゃないですか、、、
にわかには信じられませんでした!!
論文紹介
出典は
Long lateral mass screwの有用性Journal of Spine Research.12 16-21. 2021.
です。

術後の完成形はこのような形になるようです。
見たことない長さ!!驚き!!

Google Scholar でPDFが公開されておりますので、ぜひご参照ください。
刺入のポイントは、論文に詳細が記載されております。
要点をまとめますと、
①刺入点の基準は、椎弓間外側縁で椎間関節内側縁を基準として、2mm頭側、2mm内側。
②挿入の角度は、頭側に50度、外側に30度。
③レントゲン側面像で、椎体上縁と後壁の角っこを目標に。
④椎間関節に並行になる感じ。
⑤外側30度は椎弓に沿う感じ。

この軌道で、最小20mm(!)、最大で28mm (!)のスクリューが挿入可能、と結論されております。
すごいですね!!
他にも皮膚切開や、椎弓形成が困難なことや、ラミネクの幅、スクリューヘッドと硬膜との干渉など、手術で直面するtipsも丁寧に記載されており、必読と言えます。
首振りのスクリューも大事
スクリューについてもmonoaxial screwの首振りが大きくなったことで、この軌道での挿入が可能になったと記載されてありました。
そういえば、ジンマーのブースでVirage(ビラージュ)というインプラントを案内されました。
「56度の首振りがあるんです、強い角度で長いlateral mass screwを打てるようになります」、と案内されて撮った写真がコレです。

本日のまとめ
PVFSでlateral mass screwを打たなくなったんですが、long lateral mass screwという手段もいいですね。
PVFSはスクリューがどうしても短いので、固定断端には不向きなケースがあり、C2 PSだったりC7 PSだったり延長しておいたほうがいいかな、と思うケースもあります。
もしかしたらlong lateral massのような長いスクリューを打てたらshortでいけるのかな。
あたらしい軌道の開発、柔軟な発想、素晴らしいです。
CTを見る目や手術の選択肢がアップデートされました!!
素晴らしい論文、ありがとうございます!!
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