Vertebral body stenting systemが待ち遠しい
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はじめに
先日行われましたJALAS(日本脊椎前方側方侵入手術学会)で大変興味深い発表がありました。
高知大学 武政龍一先生のご発表です。
「前方手術のイノベーション」のセッションでありながら、ご演題はVBSについてでした。
VBSは、近くJohnson and Johnsonから上梓される予定のシステムです。
Vertebral body stenting systemの略で、有痛性骨粗鬆症性椎体骨折の治療に用いる新しいデバイスです。
BKPの延長といえばそれまでですが、圧潰椎体をステントで拡張したまま維持できるというのが強みになります。
なので、パンフレットにはbaloon kyphoplastyという言い方ではなく、
「Minimally invasive, percutaneous, reconstructive treatment for vertebral body fracture」
と案内されています。
手技用のパンフレットが公開されておりますので、予習してまとめておくことにいたします。
VBS -Vertebral Body Stenting System-
適応される病態
パンフレットには、手術適応にも触れてあります。

馴染みのAO分類で、
A1.1 Endplate impaction
A1.2 Wedge impaction fracture
A1.3 Vertebral body collapse
A3.1 Incomplete burst fracture; matter of discretion (depending on the degree of posterior wall
involvement, internal fixation must be used in addition)
とあり、日本導入時にはどうなるかわかりませんが、BKPのように「後壁損傷は禁忌」ということではなく、VBSは「禁忌にはしないけれども、状況に応じて内固定を追加してくださいね」ということになるのでしょうか。
そして、VBSに内固定併用してくださいね、という病態で、
In combination with internal fixation:
A3.1 Incomplete burst fracture
A3.2 Burst-split fracture; matter of discretion (the extent of the gap width should not be too wide)
B1.2 Posterior disruption predominantly ligamentous
associated with type A fracture of the vertebral
body
B2.3 Posterior disruption predominantly osseous with
type A fracture of the vertebral body
とあります。
後壁損傷や後方要素の損傷を伴う場合はBKP同様、instrumentationと併用できるということですね。
そして、
• Palliative treatment of osteolytic lesions located within the vertebral body with intact cortical shell. Classified after Tomita Type 1.
ということは、椎体の腫瘍性病変にも適応があるということですね。
アクセスキットのサイズは4.7mm、終板から5mm以上離す
手技書では、アクセスキットは 4.7mmとあります。
若干大きめですね。
まずバルーンで椎体を膨らませておいて、pre-cavityを作っておいてくれ、と。仮拡張とでもいうのでしょうか。
その後ステントで椎体を立て直すとのことです。本拡張としておきます。

アクセスの軌道は、持ち上げたい終板から5mm離してね、とのことです。
新規椎体骨折ならまだしも、実際治療するときは、2-4週程度以上は経過しているでしょうから、ここは難しいでしょうね。
ステントの軌道の意識付けという意味合いでしょうね。
VBS後は椎体高が維持される
先の武政先生のご講演では、VBS後は椎体前縁の高さが調査していた12か月間に渡り維持されていました。
びっくりです。
BKPでは前縁高は術直後が一番高くて、どうしても徐々に圧潰が進行してしまいます。
バルーンのDeflation effectとお話されておりましたが、VBSではそれがあまりないようなのです。
そうなると、椎体内クレフトが大きくて場合によっては椎体置換を考えないといけないような症例にもトライできるのかもしれません。
BKPより治療効果が大きそうです。
本日のまとめ
まもなく全国で使用できるようになるであろうVBS; Vertebral body stenting systemについて、期待感を込めてまとめました。
まさに「前方手術のイノベーション」にふさわしいご演題でした。
使用できるのが楽しみです。
コメント
コメント一覧 (2)
コメントいただきありがとうございます。
まったく同感でございます。
期待できるのは、あくまでBKPでのバルーンのdeflation effectに伴う直後の矯正損失が少ない、ということなんだろうと理解しています。なので終板損傷や椎間板ガスで椎体間の不安定があるようなケース、胸腰椎移行部で局所後弯が強くなっているようなタイプは、VBS単独では上椎体の下壁がすぐに折れてしまうのではないかと心配しています。そんな場合はinstrumentationを併用したほうがいいのではないかと考えております。
VBS興味あるんですが、椎体内ステント置いとく事で隣接椎体骨折が惹起されちゃうなんて事は無いんですかね?まだ発売前なんで完全に印象論で恐縮ですが。硬化後のセメントの硬さもあるでしょうし、一概には言えないのかな。