多発性骨髄腫は脊椎外科医が入り口
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はじめに
高齢者腰痛診療に携わっていると、必ず「多発性骨髄腫問題」に遭遇します。
多田広志先生J.Spine Res. 11: 908-911, 2020多発性骨髄腫の診断における整形外科医の役割
を拝読し、とても勉強になりました。
腰痛診療においての採血の重要性について述べられております。

多発性骨髄腫と診断された患者さんは、腰痛を訴え最初に整形外科へ行く
要約いたしますと、著者らの施設で多発性骨髄腫と診断された患者さんの44.9%が整形外科を初診しており、もっとも多い診療科であったそうです。
患者さんの主訴は体の痛みでありますが、もっとも多かったのは腰痛でした。
溶骨病変「あり」が69.1%で、骨折「あり」が43%、うち80.8%が脊椎骨折だったそうです。
多発性骨髄腫患者のみにフォーカスすると、このような激しい結果になってしまいますが、整形外科を初診する腰痛患者全体を俯瞰すると、多発性骨髄腫はごくわずかであることは間違いないと思います。
ただ、その後に多発性骨髄腫に病状が進行して、内科での採血で改めて発見された、ということでは患者さんの治療の遅れにつながりますし、患者さんが整形外科(脊椎外科)を受診した意義が薄れてしまいます。
長引く腰痛には採血を提案
基本的には血液疾患なので、血液検査をしなければ診断の入り口に至りません。
著者らは、本文のなかで、以下のように述べておられます。
・整形外科以外の診療科で診断された例は血液検査の結果異常から多発性骨髄腫が疑われた
・かといって腰痛患者全員に初診から採血することは現実的ではない
・red flagがなくとも4-6週の保存加療で改善しない場合に、このタイミングで血液検査を提案するとよいだろう
ほか、
・骨軟部腫瘍経験のある医師と骨粗鬆症治療を専門とするクリニック整形外科医師は遅延なく診断していた
本日のまとめ
わたしは、骨粗鬆症加療介入を要する患者さんには骨代謝マーカーを測定するため、合わせて蛋白分画も測定するようにしております。
本論文を拝読し、長引く腰痛患者にも採血を心がけようと思いました。
多発性骨髄腫は整形脊椎外科医が入り口になることが最も多くなるはずですね。
最初に会っているはずですから、、、
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