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はじめに


フローアブル止血剤の登場により、止血のアルゴリズムが変わってきました。

今までは神経根周囲や椎体腹側の硬膜外静脈叢からの出血は、丹念にバイポーラーで凝固焼灼したり、トロンビンを浸したスポンゼルで圧迫止血していたのですが、フローアブル止血剤で止血終了、みたいになっております。



このフローアブル止血剤は、長年保険償還されていないとずっと勘違いして、病院経費と思っていました。

償還されると知ったとたん、安心して使用しています。

迅速かつ的確な止血はその後のスムーズな手術の進行、患者さんへの侵襲の低減のうえでとても大事なことです(大義名分)。



そんな折、先日JSSRからお願いが届きましたね。

「ヒトトロンビン含有ゼラチン使用吸収性局所止血剤適正使用のお願い」

フローアブル止血剤、適正使用のお願い


「ヒトトロンビン含有ゼラチン使用吸収性局所止血剤適正使用のお願い」
と題した文書です。

・過剰使用例が散見される
・1椎間の除圧術や椎間板切除術、内視鏡症例、FED症例など、査定される可能性あり
・それでも使用した場合は必要性をしっかり症状詳記に記載するように
・とはいえ、これら以外の手術でも、フロアブル止血剤を使ったなら、やっぱり詳記を書いたほうがよかろうね
・なるべく必要最低限の量の製品を使いましょう

・・・そうですよね。

医療資源は限られていますから、、、

わかります、わかりますよ。。。

場末病院のフロアブル止血剤請求問題


これ、以外と物議をかもす状況となっています。

なぜなら、フロアブル止血剤は下記の2社の製品だからです。

①バクスター社の「フロシール 5g製材」
②ジョンソンアンドジョンソン社の「サージフロー 8g製材」
③保険償還は1gあたりの請求が前提(たしか1gあたり1万3000円程度だったと思う)

場末病院の問題点として、
・5gでは足りず、8gでは余っちゃった!
・ウチの施設は8g製材しか採用していません!
などの声があります。

フローアブル止血剤は、止血効果はたしかにめちゃくちゃ高いけど、お値段も高価なんですよね。

保険では1gあたり、1万3000円だったかな、1g単位での保険請求です。

例えば、8g製材中6g使用したとなると残り2gは廃棄です。

残った分は保険請求できず、約2万6000円程度が病院の持ち出し、となってしまいます。

そんなの、場末病院からしたら1本開封したら当然、自動的に全量使用&全量請求になりますよね、、、

「余るくらいなら使うな」と言われればとジョンジョンの8g製材は苦戦を強いられそう、、、

そういえば、韓国に内視鏡の手術見学に行ったとき、術後に全例フロシールいれてる、と言っていたような、、、(2年くらい前です)
だって硬膜外血腫イヤじゃん!!と言っていたような、、、

症状詳記の注意点


しかし症状詳記を記載するにあたり、
「術後硬膜外血腫予防のため・・・」
は適正使用ではありませんので、査定されると思います。

詳記には最低でも「
硬膜外静脈叢からの出血のコントロールに難渋したため・・・」
のような記載が望ましいのではないでしょうか。

本日のまとめ


フロアブル止血剤の適正使用、悩ましい問題ですね。

フローアブル止血剤の高い止血効果は、外科医にとってもはや麻薬レベルと言っても過言ではありません。

でも、この感覚がやっぱり過言なのでしょう。

「適正使用のお願い」にあたり、もう一度止血の手技を見直してみよう。。。