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はじめに


わたしは、3Dプリンター技術を用いて作成した患者適合型ドリルガイドの大ファンです。

ドリルガイドはMySpine®を利用しています。

MySpine®とは、スイスに本社を置くメダクタ(Medacta)という企業の商標です。

術前のCT画像データをもとに、その患者さんにぴったり適合するドリルガイドを作成。

それを実際の術野で用いてinstrumentation手術を行うものです。

使用にはメダクタのライセンスが必要で、メダクタが定める研修を受講する必要があります。


ー患者適合型ドリルガイドMySpine、到着までの期間と費用についてー


腰椎→胸椎→SAI→頚胸椎移行部、つぎは頚椎だ


腰椎で確かな手応えを得て、いまでは頚胸椎移行部からSAIまで広く使用しています。

となると次は頚椎への期待が高まります。

メダクタに聞けば、頚椎用のドリルガイドについてもすでに薬事の承認は得ているそうです。

しかし一歩間違えば死亡すら起こり得る頚椎スクリューの世界。

なかなかユーザーを広げていくことは難しいのが現状です。
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一方で、秋田県立循環器・脳脊髄センターの菅原卓先生も患者適合型テンプレート(SGT; Patient-Specific Screw Guide Templates System)を開発されており、2018年Spineに投稿されております。

Prospective Multicenter Study of a Multistep Screw Insertion Technique Using Patient-Specific Screw Guide Templates for the Cervical and Thoracic Spine
すばらしい成績が掲載されております。

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「3Dテンプレートの革新、胸腰椎から頚椎へ。」


この記事は2019年12月23日の投稿です。

時間がかかってしまいましたが、幸運なことに、ついにSGTを使用する機会を得ました。

フリーハンドで失禁&失神しそうな緊張のもと手術を行っており、限界マックスに達していたところでした。


パッケージ


SGTの詳細は先述の論文に記載されております。

SGTは以下のスリーステップでそれぞれのガイドを使用することが特徴です。

①ロケーションテンプレート
(刺入点をプロット、確認する)
②ドリルガイド
(下穴を作成するためのガイド)
③スクリューガイド
(いよいよスクリューを刺入するためのガイド)

煩雑に思われるでしょうが、頚椎でもしっかり安全を期すためのものです。

頚椎では、たとえ下穴が適切だったとしても、スクリュー刺入のときに展開が弱いと外側の筋群に内側に押されて、結果スクリューの刺入角度が甘くなって、椎骨動脈誤刺入につながる恐れがあります。

ガイド使用の手順


ガイド設置で困らないように、PS刺入角度は40度くらいで、斜位はやや甘めに作成しました。

角度をあらかじめ術前にシミュレーションできることがガイド作成のメリットの一つです。

ガイドを順番に設置していきます。

このとき、左右の刺入点が側面透視で重ねてみて、椎弓根や終板も左右で重なり合っているかで答え合わせします。

もともとは左右の椎間関節にヘラをいれて左右をあわせていました。

今回はロケーションガイドで作成した下穴に小さいエイヒを乗せて確認しました。

椎体の前壁や後壁、終板、椎弓根が左右で重なり合っていれば正確と判断できます。
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スクリューが正確に入ったときは鳥肌モノの感動が得られます。

本日のまとめ


わたしは以前スクリューで合併症を起こしてしまったとき、涙がポロポロでてきて、眠れなくなって、寝入ったと思ってもすぐ覚醒して、また涙がでてきて、とてもつらかったです。

一番つらいはずの患者さんに元気づけられて、最低な気持ちでした。



素晴らしい技術の後押しによって、患者さんの手術合併症が減ること、そしてこれは術者にとっても心身健やかに手術に臨めることにつながります。

よいと感じたものは積極的に取り入れて、どんどん応援して、社会貢献に努めていきたいと思います。