フローアブル止血剤の適正使用量について②
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はじめに
脊椎外科は、フローアブル止血剤の恩恵を強く授かっている診療科であることは間違いありません。
フローアブル止血剤に、幾度となく助けていただきました。
先日も胸椎PSOの際に、後壁を骨切り部に落とし込んだとたん、硬膜嚢の腹側静脈叢からシャワーのように出血が降り注ぎ、天を仰ぎました、、、
それが、フロシールで一撃で止まりました。
ほんと助かったです、、、
フロシール、とにかくすごいです。
その抜群の効果のため、過剰使用例が散見されるとのことです。
ヒトトロンビン含有ゼラチン使用吸収性局所止血材 (サージフロー、フロシール)適正使用量について①
過日、JSSRからフローアブル止血剤の適正使用についての案内が届きました。
・過剰使用例が散見される
・1椎間の除圧術や椎間板切除術、内視鏡症例、FED症例など、査定される可能性あり
・それでも使用した場合は必要性をしっかり症状詳記に記載するように
・とはいえ、これら以外の手術でも、フローアブル止血剤を使ったなら、やっぱり詳記を書いたほうがよかろうね
・なるべく必要最低限の量の製品を使いましょう
といった内容でした。
そしていよいよ今回その続きが届きましたね。
ヒトトロンビン含有ゼラチン使用吸収性局所止血材 (サージフロー、フロシール)適正使用量について②
今回の案内では、適正使用量のおおまかな指標が具体的に提示されました。
・3椎間まで 5ml
・4〜8椎間 5〜8ml
・9椎間以上 8〜10ml
とのことです。
・社会保険等システム検討委員会では評議員在籍施設を対象にサージフロー、フロシールの査定症例のアンケートを行った。
・結果は回答率94%、止血材の使用率は全手術中16.5%、査定率は止血材使用例のうち3.0%だった。
・アンケート結果を元におおまかな適正使用量の指標を上記のように提示する。
・適正量を超えた場合または1-2椎間で使用した際は症状詳記を徹底。
(硬膜外から異常出血,内視鏡手術で止血操作が数回にわたって必要,前方法での分節動脈止血,椎体からの出血等)
そして全国審査会でも上記基準を審査基準として確認したとことでした。
サージフローにはキツイお知らせ
フローアブル止血剤は以下の2製品です。
①バクスター社の「フロシール 5g製材」
②ジョンソンアンドジョンソン社の「サージフロー 8g製材」
そうなると、「3椎間まで5mlルール」に従うと、ジョンジョンのサージフローの出番が激減します。
ジョンジョン社は今回のJSSRのお達しを受けて、大至急、ASAPで日本支部用に5g製剤を作成しなければならなくなったのではないでしょうか。
本日のまとめ
フロアブル止血剤には感謝しかありません。
先述のように、これまで止血に難渋する場面で、フロアブル止血剤のおかげで何度も助けられました。
フロアブル止血剤の登場により、止血のアルゴリズムが変わりました。
ただし、限られた医療資源の中で、適正使用問題はとても大事な提起だと思います。
「フロアブル止血剤のおかげで止血操作が適当でよくなった」、では本末転倒です。
「適正使用」にあたり、もう一度止血の手技を見直して、止血操作をブラッシュアップしていくことがより大切なことだと感じました。
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