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はじめに


骨粗鬆症性椎体骨折に対する痛みの緩和にBKP/VBSが有効です。

しかし、BKP/VBSを語ると必ず問題になってくることが隣接椎体骨折です。

BKP後、比較的早期に隣接する椎体が折れることは臨床医からは認識されております。

合併症のひとつとして理解されておりますが、どんなときに起こるのか、というのは実際のところ、まだそんなに明確にはわかっておりません。

そして、もうひとつ、では隣接椎体骨折が起こったから、悪なのか?
BKPやらなかったほうがよかったのか?
ということに関しても、謎です。

BKPがきっかけで早期に骨折するんだったら、なにか誘因があるはずだ、解明して隣接椎体骨折の予測因子を見つけよう!!

こんな強い意気込みをもって、京都大学大学院 社会健康医学系医療疫学口座の土方先生が2018年3月に研究をはじめられ、この度その成果が、Bone&Joint Journalで出版されました。
土方先生のご略歴はコチラ
Quotomy
コホート研究

その名も、AVAスコア;acute Adjacent Vertebral fracture after vertebral Augmentation scoring systemです。

以下、まとめます。

術前データで隣接椎体骨折を予測するスコアリングシステム


対象は2012年4月から2018年6月にかけて民間病院6施設で、単椎体にBKPを施行した症例を集めました。

包含対象505例に対して除外基準99例を除いた406例が研究対象となりました。

術後1か月時点での隣接椎体骨折の有無を判定できなかった29例が除かれた377例を検討しています。

BKP377例中、1か月時点で隣接椎体骨折を起こしたものが58症例/377(15%)でした。

180日の時点で発症した隣接椎体骨折全体の71%にもなり、1か月以内という早期に骨折することが圧倒的に多いことが示されました。

このBKP後1か月以内で骨折を起こした58例の解析です。

よって、BKP後1か月以内の隣接椎体骨折を予測するものとなります。

「AVAスコア」は以下の5点です。

① 立位と仰臥位で前方椎体高のギャップが5mm以上
② 局所後弯10°以上
③ 罹患期間30日以上
④ CTで明らかなクレフトあり
⑤ 既存椎体骨折あり

これらの項目が1つ当てはまれば1点ずつ足していきます。

ざっくり要約すると、
・1点以下ならAVFはほとんど起こらない
・4点以上なら約60%ちかくAVFが発生する

というものになります。
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AVAスコアの強みは
・術前のデータから予測できること
・BKP後1か月時点での骨折症例を対象としており、早期隣接椎体骨折の予測であること
・24時間救急を受け入れる6民間病院の患者を対象としているので、症例の選択バイアスについて場末の脊椎外科ワールドにフォーカスしていること
だと思います。

ほか、術中の椎間のセメント漏れや過矯正、後弯の残存なども隣接椎体骨折に影響することは、BKP治療医であれば肌で感じるところだと思います。
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AVAスコア考察のなかで、これらは、術前の椎体不安定が大きい症例やクレフトが存在する症例、骨折して経過が長い症例や前壁の損傷が強く後弯が強いものに起因されるので、AVAスコアの因子で代用できるのではないかと論じられています。

本日のまとめ


BKP後1か月以内の隣接椎体骨折を予測するスコアリングシステム、AVAスコアの紹介でした。

大阪市大スコアや土方先生らのお仕事は尊敬の念と感謝しかありません。

とても勉強になります。ありがとうございます。

土方先生より。
「今後外的検証とアップデートをしないとホントに使えるかわかりませんが、是非使ってやっていただけますと幸甚です。」

AVAスコアのそれぞれの因子も臨床医であれば肌で感じていることだと思います。

検証しながら、引き続き骨粗鬆症性椎体骨折の治療にあたっていきたいと思います。

☆☆大阪市大スコアも大変勉強になります!☆☆


☆☆BKPは死んでません!!☆☆